【スグルのリアル体験 2 】  〜  「人の役に立て」

自分が生まれてきた意味はなんだろう?って、あなたは考えたことがありますか?

俺は今でも考える。 でも、その答えを教えてくれたのは・・ 父ちゃんだった。

 

母ちゃんが死んだとき、父ちゃんは泣きながら俺に言った。 「俺がお前を守る」

それから父ちゃんは男手ひとつで俺を育ててくれた。 

呑めない酒を無理して呑んで、時には朝帰り。 疲れた顔で笑いながら「これもお前のためだ」と言う。

 再婚もせず、ひたすら俺のためだけに働いた。

19年間、その日暮らしの生活。 お金がなくて、水道や電気が止められることもあった。

暗い部屋の隅っこで、父ちゃんと350mlのコーラを分け合い、ポテチ1袋を夕飯代わりに食べた夜もあった。

近所の知り合いの家を転々とご飯をもらいに行ったことも、今では懐かしい思い出だ。

でも、不思議と父ちゃんを恨んだことは一度もなかった。

 

団地の狭い薄汚れた、

ド貧乏の部屋の生活だったけど、そこには確かに温かい愛情があった。 父ちゃんは不器用で、

愛の言葉は無かったが、態度では隠さなかった。 それが俺にはちゃんと伝わっていた。

俺たちはよく口喧嘩もしたど、一緒にチョコを食べたり、父ちゃんが好きだったギャンブル場に遊びに行ったりもした。 

そんな父ちゃんが、俺は大好きだった。

 

そんな父ちゃんが、俺が25歳の春に死んだ。 肝臓癌だった。

病室のベッドで父ちゃんは、もう弱々しい声で言った。 「貧乏でも 人の役に立て」

その言葉を聞いた瞬間、俺は泣き崩れた。 母ちゃんを失ったときの父ちゃんの涙を思い出した。 

今度は俺が一人ぼっちになった。

父ちゃんが死んだ後、俺は無意識に「死にたい」と口にしていた。 

 

最愛の両親を失い、生きる力の源だった愛情が消えていった。 

俺には何も残らないと思った。

でも、ある日ふと思い出したんだ。 

父ちゃんの口癖を!

「貧乏でも 人の役に立て。」

 

父ちゃんの人生は決して長くはなかったけれど、誰よりも深く人を愛し、誰よりも俺のために生きてくれた。

信頼・・・愛してくれる人がいる。 そして信頼・・・愛する人がいる。 そんな人生は素晴らしい。

寿命の長さじゃない。 何をして生きるかが大事だと、父ちゃんは教えてくれた。

だから、俺は決めたんだ。 父ちゃんが託した夢を叶えようって。

 

多くの人の役に立つ人間になりたい。 父ちゃんが生きたように、俺も生きてみたい。 

どんなに貧しくても、愛を忘れずに生きていきたい。

父ちゃん、俺はちゃんとやるよ。 父ちゃんの教えてくれた「夢」を俺は必ず形にする。

今までも、そしてこれからも。 俺の中で、父ちゃんはずっと生きている。

これからも応援してくれ 父ちゃん!