【スグルのリアル体験 5 】〜「母のように光のように」

母親のように接してくれた叔母の愛について書こうと思う。

俺は25歳の時、最愛の父ちゃんを失った。唯一の家族だった父ちゃんが突然いなくなり、

俺は心の中にぽっかりと穴が空き、完全に一人ぼっちになった。

 

父ちゃんの死を受け入れられず、気づけば無意識に「俺も死にたい」と口にしていた。

それを聞いていたのが叔母だった。

 

叔母は静かに俺の隣に座り、こう言った。

「分かるよ。その気持ち。私もね、子供の頃、同じ経験をしたんだ。」

初めて知った事実だった。

 

叔母も幼い頃に両親を失い、深い孤独と悲しみを

抱えながら生きてきたらしい。

でも、そんなことはこれまで一度も感じさせなかった。

叔母はいつも明るくて、頼りがいのある存在で、悲しみとは無縁の人に見えていた。

 

でも、その明るさの裏には、俺と同じような孤独や痛みがあったのだと思うと、

胸が締めつけられるようだった。

 

父ちゃんがいなくなった日から、叔母はまるで俺の母親となろうとするかのように寄り添ってくれた。

毎日のように家を訪れ、食事を作り、部屋にこもる俺の扉をノックし続けた。

「ご飯だけでも一緒に食べようよ」と言われ、仕方なく席につくと、叔母は何も言わずに俺の話を聞いてくれた。

 

時には「何してるの!しっかりしなさい!」と叱られることもあった。

その叱責が、どれだけ俺のことを心配していてくれてたのか、今では痛いほど分かる。

 

特に忘れられない思い出は、公務員の採用試験の前日のことだ。俺は高熱を出し、布団の中でうなされていた。

叔母はすぐに駆けつけて、夜通し看病してくれた。

「明日は大事な日だから、絶対に元気になろうね」と言いながら、何度も冷たいタオルを取り替え、水を飲ませてくれた。

そのおかげで翌朝には熱が下がり、試験を受けることができた。

 

試験会場に向かう俺に「頑張っておいで!」と笑顔で送り出してくれた叔母の顔が忘れられない。そして、結果は・・合格!

俺が報告すると、叔母は自分のことのように、とびきりの笑顔で喜んでくれた。

「よかった、本当によかったね」と言いながら、俺をぎゅっと抱きしめてくれた。

その温もりと笑顔は今でも鮮明に覚えている。

 

けれど、その叔母も今はもうこの世にはいない。

叔母が死んだとき、俺は泣いて、泣いて、泣いた。

それでも何とか立ち上がり、悲しみを乗りこえた。

 

そしてまた、自分の無力さや人生の厳しさを思い知らされた。

けれど今は、どんなに辛いときも叔母の強さと優しさが俺を支えてくれている気がする。

 

俺の人生に光を灯してくれた叔母の存在が、今でも心の中に生きている。

叔母さん、俺はあなたに何も恩返しができなかったけど、今こうして生きています。

あなたがいなかったら、俺はきっと途中で心が折れていました。

あなたが愛と強さを教えてくれたからこそ、今の俺がいる。

 

いつか胸を張ってあなたに会いに行けるよう、俺も誰かの力になれる人間になりたい。

 

叔母さん、本当にありがとう。あなたがくれた愛と優しさを、今度は俺が誰かに渡していきます。

あなたの愛が、光となり俺をここまで生かしてくれました。

叔母さん、本当にありがとう!