【スグルのリアル体験 17】〜人との出会いが人生を変える

俺が秋山先生と三木先生に出会い、この2年間で学んだことは計り知れない。

彼らは俺にとって人生の師匠であり、学校や子どもたちとどう向き合うべきかを教えてくれた。

この仕事に就く前、俺は「学校用務員」という職業に無意識のうちに偏見を抱いていた。

だが、それはただの無知であり傲慢だったと、痛感させられた。

 

子どもたちの笑顔、先生たちの支え、そして学校という場の持つ温かさ。

その全てが俺の心に熱い何かを注ぎ込んだ。「これからは学校や児童のために自分の全てを捧げたい」――

そう心の底から思えるようになったのだ。

 

そんな俺に、秋山先生は、次に行く学校についてこう告げた。

「スグル君が次に行く学校は、この市で一番クラス数が多い大きな学校だ。

そして、そこには北里君という忙しい先生がいる。頼むよ、うまく支えてやってくれ。」

いよいよお別れの日がやってきた。

 

2年間共に過ごした子どもたちや先生たちが、校庭にアーチを作ってくれた。

アーチの中をくぐり抜け、正門を出たとき、俺は全身が「ブルブル」と震えるのを感じた。

 

この学校で学んだこと、感じたことが、俺の体と心に深く刻み込まれていた。

 

次に赴任するのは、この市でクラス数が一番多い大きな学校だ。

そこでは、秋山先生が言っていた「北里先生」に出会うことになる。

いったいどんな人物なんだろう?期待と不安を抱えたまま、俺は新しい学校の門をくぐった。

初めて北里先生に会ったとき、俺は驚いた。秋山先生とは全く違う雰囲気。人当たりが良さそうで、柔らかな物腰の先生だった。

だが、初めての会話でさらに驚かされた。

 

「私は出張が多いから、この学校のことは全面的に頼むよ。」

そう言う北里先生は、教育委員会や学校職員の問題を解決する大きな組合の役員だった。

所属は「学校用務員」とは言うが、その存在感や話す内容は、俺の知っている用務員の枠をはるかに超えていた。

 

「俺がいる組織って、いったいどうなってるんだ?」と戸惑いながらも、俺はこの環境でやっていくしかないと自分に言い聞かせた。

 

さらに驚いたのは、新しい校長先生だった。県の教育委員会から来たという新しい校長先生は、

これまで出会ったどの先生とも違う鋭い眼差しを持っていた。

そして、北里先生と共に校内を回っているとき、

俺たちはある驚きの光景を目にすることになった――。