【スグルのリアル体験 27 】〜過去の自分と向き合う

次の朝、俺はいつものように正門に立った

先生たちが生徒たちに「おはよう」と声をかけながら、服装のチェックをしている。

頭を坊主にして剃り込みを入れている生徒や、アイパーをかけてリーゼント風に仕上げている生徒もいる。

(俺も生徒の頃は、赤く染めた頭に刺繍入りの短ランだったな……)

そんなことを思い出して、思わず苦笑いする。

 

先生が「その髪型、やりすぎだぞ」と注意すると、生徒は明らかにふてくされた表情を浮かべる。

(こいつ、しばいたろかぁ!)

そう思いかけて、ハッと汗をかく。

立場が逆になった今、昔の自分を思い出して、つくづく苦笑しか出てこない。

 

毎日、こうして門に立っているうちに気づいたことがあった。

必ず決まったメンバーで生徒指導の先生、校長先生、そして数人の教師が門に立っているのだ。

 

しかし、ふと職員室を振り返ると、門に立とうとしない先生たちもいる。

「なぜ、あの先生たちは来ないんだろう?」

俺はずっと疑問に思っていた。そこで、思い切って担任だった先生に聞いてみた。

 

「先生、あの門に立たない先生たち、どうしてなんですか?」

先生は少し困ったように笑いながら、こう答えた。

「まあ、門に立つのは任意だからね。でも、正直、逃げてる先生もいるかもね。」

その言葉に、俺は思わずハッとした。

 

そういえば、俺が生徒だった頃——。

授業中にビンタされたことがあった。突然のことにカッとなり、思わずその先生に掴みかかってしまった。

その件が大問題になり、それ以来、その先生は俺のことを避けるようになった。

 

「そっか……怖かったんだろうな。」

俺は、当時のことを思い返してみた。

俺がなぜイライラしていたのか。なぜ反抗してばかりだったのか。

当時は、自分のことを理解してくれる人なんていないと思っていた。

 

ただ毎日が無性にムカついて、誰かに当たり散らさずにはいられなかった。

大人たちは口うるさく俺を否定し、俺はそんな大人たちを敵だと思っていた。

でも、今こうして大人の立場になってみると、少しわかる気がする。

先生たちだって、生徒の態度にどう接していいかわからず、距離を取るしかなかったのかもしれない。

 

だからこそ——。

「俺は逃げない。むしろ、悪そうな生徒に積極的に関わっていこう。」

そう決意した。

 

次の朝、俺はこれまでとは違う気持ちで門に立った。

あの剃り込みの生徒が目の前を通る。俺はニヤッと笑いながら、「おう、今日も気合入ってんな」と声をかけた。

生徒は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに「うっせー」と言いながらも、どこか照れくさそうに足早に通り過ぎていった。

「ちょっとずつでいいんだ。」

俺は、生徒たちの表情を見ながら、そう思った。

 

昔の俺が欲しかったのは、正面からぶつかってくれる大人だった。

否定されるだけじゃなく、俺のことを見てくれる存在。

俺がその存在になれるかどうかはわからない。でも、逃げずに、目をそらさずに、生徒たちと向き合ってみよう——そう思えたのだった。