【スグルのリアル体験 42】〜誰かのために尽くす勇気

いつもどおり、朝ボランティアの準備をしていると、「おはようございます」と声がした。 

顔を上げると、そこには中村先生の姿があった。

彼は来た。

 

俺の心は躍り、まるで光が差したかのように、彼の未来が見えてくる。

「きっと教員採用試験に合格し、この学校だけでなく、彼が関わる生徒たちの才能を引き出してくれる先生になる」と。

俺は中村先生に軍手、バケツ、火バサミを渡し、地域清掃をお願いした。

 

ボランティアが終わり、「どうでしたか?」と尋ねると、

「スグル先生、朝からこんなことをしていたんですね」と彼は驚いていた。

「この学校には親父の会があって、仕事終わりには夜も保護者と一緒に活動することもあるんですよ」と俺。

「さぁ、次は“朝のあいさつ運動”です。一緒にやりますか?」

「あ、はい!やります!」

 

それから中村先生は毎日、ボランティアとあいさつ運動に参加するようになった。

ある日、彼が真剣な表情で尋ねてきた。

「スグル先生、なぜここまで色々なことをする必要があるのですか?」

彼の言いたいことは分かっていた。

 

学校は学力を上げ、規則正しい生活を教える場所。

しかも、俺は“学校用務員”。

「中村先生、学校を守ることを意識したことはありますか?」

「まず生徒たちにとって安全で良い環境でないと授業になりません。 学校が荒れるときは“一瞬”です。

良い学校を作るには、生徒からの信頼、地域や保護者の協力、

そして我々職員のバイタリティが不可欠なんです」

「僕は力にならないかもしれませんが、頑張ってみます!」

 

その日から中村先生の魂に火がついた。

 

毎朝、講師の先生3人も加わり、ボランティアとあいさつ運動が続いた。

地域の人や保護者も交代で参加し、講師たちも打ち解けていった。

俺はいつの間にか、地域の他の小学校にも顔を出すようになっていた。

 

学校間連携のための情報交換だ。

勤務時間は8時間しかない。

でも、地域性を考えると、コミュニケーションは何よりも大事だ。

俺は授業がない先生たちに仕事を頼むことにした。

 

「先生〜!先生〜!」

みんな快く引き受けてくれる。

これが“学校内連携”というものだろうか(笑)。

学校内の連携が進むと、いろんな先生が相談に来るようになった。

生徒のこと、地域や保護者のこと、同僚のこと。

 

ある日、長野先生がやってきて、

「スグル先生、保護者に口説かれて困っています」と。

彼女は独身で魅力的だ。

しかも、相手は既婚者。

 

「まず二人で会う機会は避けて、自宅には行かないようにしましょう。 しつこい場合は、校長先生に相談しましょう。

もし言いにくければ、俺が相談しますよ」

長野先生はホッとした表情を浮かべた。

翌日、体育講師の奥野先生が、なんと・・・