【スグルのリアル体験 47】 〜 浜田君の7日間の奇跡 〜
- 2025/07/31

浜田君の職場体験2日目の朝、少し早めに学校へ行く。
でも、心のどこかで思っていた。
「来ないかもしれない」と。
あの子は、ずっとそうやって生きてきた。
来たくても来られない日が、あったはずだ。
俺の“作戦”だけで心が動くほど、人生は甘くない。
けど——
校門の前に、いた!カバンを肩にかけた 浜田君が。
俺、思わず変な笑顔になり「うおぉ!来た!やるなぁ浜田ぁ君!」
浜田君は、何も言わないけど、目だけで伝わった。
「先生、俺、来たよ」って。
さあ、今日は“教育委員会への連絡の仕事” 校長先生が、わざわざ浜田君に声をかけてくれた。
「浜田君、君に大切な書類を任せたからね」と。
中身は空だけど、気持ちは本気だ。
俺たち2人でバスに乗って、役所に向かった。
なんかもう、親子の遠足みたいだった。
教育委員会の建物に入ると、俺が連絡しておいた仲間たちが、待ってくれていた。
「浜田君?スグル先生と一緒ってことは…未来の用務員だね!」
「お、君があの壁を塗ったんだって?ありがとう!」
浜田君は、ちょっと照れながら、小さく「はい」と返事をした。
その声が、もう俺にはご褒美だった。
帰りのバス、隣に座ってた浜田君が、小さな声で言った。
「先生、僕、こんな風に人と話すの…久しぶりです」
心がギュッとなった。
嬉しくて、切なくて、なんか、泣けてきて。
俺は、ただ言った。
「そっか。俺は、浜田と話せて嬉しかったよ」。
それからの日々も、浜田君は来た。
ついに、彼の“3日以上登校できない”記録を超えた。
7日目。最後の日。
仕事も終えて、校舎を一緒に歩いているたら、ふと浜田君が立ち止まって言った。
「…先生。俺、学校って、ちょっと嫌いだったけど…
ここは、ちょっとだけ好きかもです」
それだけ言って、下を向いた。俺は言葉を返せなかった。
なんか、もう胸いっぱいで。
ありがとう、浜田君。
ただ、来てくれただけで。それだけで、もう十分なんだよ。
彼が〝職場体験学習〟7日間を キッチリ体験したのは
言うまでもない。
先生達の間では〝奇跡の職場体験〟と呼んでいる
その後 彼は、学校を休むことはあったが、出席日数は増えていった。