【スグルのリアル体験49】 〜 涙の離任式、そして次の舞台へ 〜

この中学校とも、いよいよお別れだ。

 

勤務年数がいっぱいになり、次の学校へ異動することが決まった。

思い返せば、本当にいろんなことがあった。

 

叱った日も、笑った日も、悔しかった日も。でも今は、不思議と 「出し切った」 という気持ちがある。

たくさんの先生たち、個性あふれる生徒たち。

 

俺の方こそ、たくさん学ばせてもらった。

ーーー

いよいよ迎えた「離任式」。

今年度は8人の先生が学校を去る。

離任者挨拶が終わった後、生徒代表が1人ずつ花束を手に壇上に出てくる。

 

「さて、俺の前には誰が来るんだろうな」そんなふうに思っていた。

 

そして、俺の番。

 

目の前に花束を持って現れたのはーーな、なんと…“番長”だった!

両手に花束を抱え、真っすぐな目で俺の方を見て立っている。

 

「スグル先生…ありがとう」小さな声で、そう言った。

 

…ズルい。

 

まだ泣くタイミングじゃないのに。でも、もうダメだった。涙が止まらなかった。

気づけば 大泣きしていた。

体育館は一瞬、静まり返った。涙も鼻水も垂れ流し、まったく格好悪かっただろう。

けど、そんなことはどうでもよかった。

 

番長と過ごした日々が、一気に脳裏を駆け巡った。

最初は睨んでばかりで、先生たちにも反発していたアイツ。それでも俺は、顔を合わせるたびに必ず声をかけてきた。

 

「おう、元気か」

「無理すんなよ」

 

たとえ返事がなくても、それを続けてきた。そんなアイツが、今、「ありがとう」 と言ってくれた。

それがどれほどの想いだったかーー

俺には、わかっていた。

 

その一言に込められた、心の変化が。「スグル先生…ありがとう」

その言葉をもらえただけで、俺はこの学校で過ごしたすべての時間が、報われた気がした。

 

本当に、最高の離任式だった。

ありがとう。

ーーー

そして、離任式が終わった後。次に赴任する学校の発表日がやってきた。

朝から、なぜか胸騒ぎがしていた。

「きっと、次も荒れた学校だろうな」

頭には「城大中学校」「荒門中学校」など、手強そうな学校名が思い浮かんでいた。

 

そのとき、校長室に呼ばれた。

 

「スグル先生、教育委員会に“残してほしい”と頼んだんだけど…ダメだったよ」

…ウソでも、嬉しい言葉だった。それだけでも、十分だった。

 

そして校長先生が、次の学校名を告げた。

な、なんとーー