【スグルのリアル体験62】〜 最後の小学校での奇跡の出会い 〜

3月から4月にかけて――。

出会いと別れが交差する季節。 

 

私は、この小学校で過ごした5年間を振り返っていた。

数え切れないほどの出来事。嬉しいことも、苦しいことも、全部が尊い経験だった。

 

思えば、ひとり一人にそれぞれの人生があり、互いに助け合い、支え合ってきた。

「教育」とは教え育むと書くけれど、実際は先生が児童を導くだけではない。

 

児童から学ぶこともまた、限りなく大きい。

私は、その真実を身をもって知った。

 

そして4月。

私は「最後の小学校」に赴任する。

 

街の中心から南へ――時を刻んできた古い校舎がそこにあった。

新しい環境。

 

校長先生と相談し、「児童の安全と校舎の美観を守る」ことを軸に働き始めた。

 

営繕依頼は毎日のように届き、担任の先生たちと相談しながら汗を流す。

本来の“学校用務員”としての役割に誇りを感じ、仕事に没頭する日々。

 

ここなら全力で取り組める――そう実感していた。

そんなある日のことだった。

校長先生が私の前に、一人の男の子を連れてきた。

「この子を、スグル先生にお願いしたいんです」

 

その言葉に振り返ると――

驚いた。

 

そこに立っていたのは、かつて別の学校で出会い、深い縁を結んだ児童によく似た、ひとりの少年だった。

面影が重なり、胸の奥が熱くなる。

 

新しい学校で、また「奇跡の出会い」が始まろうとしていた。

俺はゆっくりと膝を折り、その子と目を合わせた。

 

「よろしくな。ここで一緒に、いろんなことを学んでいこう」

その瞬間、長い旅路の果てに、新しい物語の扉が静かに開いたのだった。