【スグルのリアル体験62】〜 最後の小学校での奇跡の出会い 〜
- 2025/11/13

3月から4月にかけて――。
出会いと別れが交差する季節。
私は、この小学校で過ごした5年間を振り返っていた。
数え切れないほどの出来事。嬉しいことも、苦しいことも、全部が尊い経験だった。
思えば、ひとり一人にそれぞれの人生があり、互いに助け合い、支え合ってきた。
「教育」とは教え育むと書くけれど、実際は先生が児童を導くだけではない。
児童から学ぶこともまた、限りなく大きい。
私は、その真実を身をもって知った。
そして4月。
私は「最後の小学校」に赴任する。
街の中心から南へ――時を刻んできた古い校舎がそこにあった。
新しい環境。
校長先生と相談し、「児童の安全と校舎の美観を守る」ことを軸に働き始めた。
営繕依頼は毎日のように届き、担任の先生たちと相談しながら汗を流す。
本来の“学校用務員”としての役割に誇りを感じ、仕事に没頭する日々。
ここなら全力で取り組める――そう実感していた。
そんなある日のことだった。
校長先生が私の前に、一人の男の子を連れてきた。
「この子を、スグル先生にお願いしたいんです」
その言葉に振り返ると――
驚いた。
そこに立っていたのは、かつて別の学校で出会い、深い縁を結んだ児童によく似た、ひとりの少年だった。
面影が重なり、胸の奥が熱くなる。
新しい学校で、また「奇跡の出会い」が始まろうとしていた。
俺はゆっくりと膝を折り、その子と目を合わせた。
「よろしくな。ここで一緒に、いろんなことを学んでいこう」
その瞬間、長い旅路の果てに、新しい物語の扉が静かに開いたのだった。

