【スグルのリアル体験65】〜 ゆうすけ君の奇跡 〜

翌日、ゆうすけ君の様子を見ようと教室を覗くと――いない。

 

担任に聞くと、また飛び出して行ったという。

長い廊下を足早に探し、角を曲がった先で見つけた。

 

スチール棚の上の木製の置物で遊んでいた。

そっと近づき、声をかける。

「教室に戻ろうか?」

すると、ゆうすけ君は戯れるように私に飛びついてきた。

 

私は彼を強く抱きしめた。

 

それからというもの、彼に何かあるたびに“抱きしめた”。

言葉は通じなくても、気持ちは必ず伝わる――そう信じて。

 

ゆうすけ君は、お母さんと二人暮らし。

毎日、仕事帰りのお母さんが迎えに来ていた。

 

――しかし。

 

ある日、信じられない悲しい出来事が起きる。

お母さんが、突然この世を去ってしまったのだ。

まだ幼い子を残して。

 

あまりにも可哀想で、あまりにも無念だったろう。

私は呆然とし、何も考えられなかった。

 

我に返ったとき、私はただゆうすけ君を抱きしめ、ひたすら泣いた。

「君は強い。きっと、きっと幸せになる」

ゆうすけ君は、青空園という施設へと入ることになった。

 

――そして数年後。

 

仕事で青空園を訪れたとき、背後から声が響いた。

「スグル先生!」

振り返ると、そこには成長したゆうすけ君の姿があった。

 

元気でいてくれて、ありがとう。

心の中で叫びながら、私は彼を強く抱きしめた。

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