【スグルのリアル体験 10 】〜「心を揺さぶられた出会い」

なんと、この学校には、俺が小学校6年生のとき、

隣のクラスの担任だった三木先生が教務主任としているではないか!

 

懐かしさに胸がいっぱいになった。まさか、同じ職場で

働ける日が来るなんて思ってもみなかった。

 

三木先生は、親しく接してしてくれ、公私ともども俺を支えてくれた。

俺の「ダメダメ」な考え方を変えてくれた人のひとりだ。

三木先生は学校に朝5時に来ては、夜も最後まで残って働いている。

そんな姿を見て、俺は胸を打たれた。三木先生はただの「先生」じゃない。学校の柱そのものだ。

 

ある日、三木先生は俺に学校の内情を教えてくれた。

子どもたちとの接し方、同僚で心を病んでしまった平尾先生のこと、教員の仕事に対して抱える葛藤まで。

さらに心を揺さぶられたのは、秋山先生との出会いだ。

見た目は怖くて、仕事にも妥協しない厳しい人。最初は近寄りがたかったが、周囲から信頼され、

仲間を大事にする姿を見て、その真の姿を知るようになった。

 

秋山先生は、ただの「用務員」ではなかった。過去の職業差別問題や、学校用務員の現状、

課題や未来を真剣に語り、校長先生や教頭先生、同僚の相談に乗りながら、

子どもたちとも丁寧に向き合っている。

 

ある日、秋山先生が言った。「俺たちは子どもたちの学びを支える土台なんだよ。ただの雑用係なんかじゃない。誇りを持て。」

その言葉に、俺の心が震えた。これまで、自分の仕事に誇りなんて感じたことがなかった。

ただの雑用係だと思っていた自分が恥ずかしかった。

 

秋山先生は厳しくも温かい人だった。気づかないところで、俺を支えてくれていた事を

三木先生に聞いた時は、涙が出そうになった。

 

三木先生と秋山先生。この二人との出会いが、俺の人生を変えてきた。

自分の存在がどれほどの価値を持つのか、見えていなかった俺に、新しい視点を与えてくれた。

そして、俺の心に生まれた「変化」。それは、仕事に対する意識だけでなく、

人生そのものを捉え直すきっかけになりつつあった。

人と繋がることの意味を、この時、少し分かりはじめた。