【スグルのリアル体験 14】〜タブーへの挑戦!

学校では毎朝行われる職員朝礼や夕方の職員会、他にも研修会などがあり、

これらの会では、その日の出来事や重要な情報が共有される。

俺は、そうした会すべてに積極的に参加し、学びたいと思っていた。

 

ある日、その思いを秋山先生に相談すると、「いいことだね。ぜひやってみなさい」と、笑顔で背中を押してくれた。

その瞬間の秋山先生の嬉しそうな表情に、俺も勇気をもらった。

 

そして、ある研修会に参加した時のことだ。

初めての場に緊張しながらも、俺は思い切って自分の考えを発言してみた。

けれど、発言したとたん、周囲の先生たちが一斉に黙り込んでしまった。

静まり返る空気に、

俺は何が起こったのか全く分からなかった。

 

研修が終わるとすぐに、三木先生が俺に声をかけてきた。

「スグル君、学校にはね、触れてはいけない  “タブー”があるんだよ」

先生の言葉に、俺は、驚きと戸惑いを隠せなかった。

 

研修は、差別や人権に関わる重要なテーマだった。

しかし、先生達は、その研修で本音を語ることが暗黙のタブーとされ、

表面的な「きれいごと」だけが並ぶ場になっていると三木先生は教えてくれた。

その現実に触れた俺は、ズンッと胸が重くなり、落ち込んでしまった。

 

そんな俺を見かねた三木先生は、放課後時間を作り、学校のタブーがなぜ存在し、

どうして誰もそれに触れようとしないのかを丁寧に説明してくれた。

そして最後にこう言った。

 

「スグル君は正直で素晴らしい。でも、学校という組織ではその正直さが壁にぶつかることもある。

だけど、君の思いを無駄にしてはいけない。君のような人が変化のきっかけを作るんだよ」

その言葉に、俺は胸が熱くなった。そして意を決し、「先生、一緒に変えられないでしょうか?」と相談した。

三木先生は少し考えた後、「まずは小さなグループを作ろう。

「信頼できる先生を集めて、自由に意見を交換できる場を作るんだ」と

提案してくれた。

 

その提案に俺は賛同し、三木先生と二人三脚で動き出すことになった。

次の週、放課後に最初の集まりが開かれた。小さな部屋に集まったのは、三木先生をはじめ、

現状を変えたいという思いを持つ数人の先生たちだった。

その場では、これまでの研修では口にできなかった

本音が次々と飛び出した。

 

涙ながらに自分の葛藤を語る先生、未来の子どもたちのために変えたいと強く訴える先生。

「これなら、変えられるかもしれない」と心から思えた。

その小さな一歩が、いつの日か大きな変化を生むと信じて。

俺たちの挑戦は、こうして始まったのだ!