【スグルのリアル体験49】 〜 涙の離任式、そして次の舞台へ 〜
- 2025/08/14

この中学校とも、いよいよお別れだ。
勤務年数がいっぱいになり、次の学校へ異動することが決まった。
思い返せば、本当にいろんなことがあった。
叱った日も、笑った日も、悔しかった日も。でも今は、不思議と 「出し切った」 という気持ちがある。
たくさんの先生たち、個性あふれる生徒たち。
俺の方こそ、たくさん学ばせてもらった。
ーーー
いよいよ迎えた「離任式」。
今年度は8人の先生が学校を去る。
離任者挨拶が終わった後、生徒代表が1人ずつ花束を手に壇上に出てくる。
「さて、俺の前には誰が来るんだろうな」そんなふうに思っていた。
そして、俺の番。
目の前に花束を持って現れたのはーーな、なんと…“番長”だった!
両手に花束を抱え、真っすぐな目で俺の方を見て立っている。
「スグル先生…ありがとう」小さな声で、そう言った。
…ズルい。
まだ泣くタイミングじゃないのに。でも、もうダメだった。涙が止まらなかった。
気づけば 大泣きしていた。
体育館は一瞬、静まり返った。涙も鼻水も垂れ流し、まったく格好悪かっただろう。
けど、そんなことはどうでもよかった。
番長と過ごした日々が、一気に脳裏を駆け巡った。
最初は睨んでばかりで、先生たちにも反発していたアイツ。それでも俺は、顔を合わせるたびに必ず声をかけてきた。
「おう、元気か」
「無理すんなよ」
たとえ返事がなくても、それを続けてきた。そんなアイツが、今、「ありがとう」 と言ってくれた。
それがどれほどの想いだったかーー
俺には、わかっていた。
その一言に込められた、心の変化が。「スグル先生…ありがとう」
その言葉をもらえただけで、俺はこの学校で過ごしたすべての時間が、報われた気がした。
本当に、最高の離任式だった。
ありがとう。
ーーー
そして、離任式が終わった後。次に赴任する学校の発表日がやってきた。
朝から、なぜか胸騒ぎがしていた。
「きっと、次も荒れた学校だろうな」
頭には「城大中学校」「荒門中学校」など、手強そうな学校名が思い浮かんでいた。
そのとき、校長室に呼ばれた。
「スグル先生、教育委員会に“残してほしい”と頼んだんだけど…ダメだったよ」
…ウソでも、嬉しい言葉だった。それだけでも、十分だった。