【スグルのリアル体験65】〜 ゆうすけ君の奇跡 〜
- 2026/01/29

翌日、ゆうすけ君の様子を見ようと教室を覗くと――いない。
担任に聞くと、また飛び出して行ったという。
長い廊下を足早に探し、角を曲がった先で見つけた。
スチール棚の上の木製の置物で遊んでいた。
そっと近づき、声をかける。
「教室に戻ろうか?」
すると、ゆうすけ君は戯れるように私に飛びついてきた。
私は彼を強く抱きしめた。
それからというもの、彼に何かあるたびに“抱きしめた”。
言葉は通じなくても、気持ちは必ず伝わる――そう信じて。
ゆうすけ君は、お母さんと二人暮らし。
毎日、仕事帰りのお母さんが迎えに来ていた。
――しかし。
ある日、信じられない悲しい出来事が起きる。
お母さんが、突然この世を去ってしまったのだ。
まだ幼い子を残して。
あまりにも可哀想で、あまりにも無念だったろう。
私は呆然とし、何も考えられなかった。
我に返ったとき、私はただゆうすけ君を抱きしめ、ひたすら泣いた。
「君は強い。きっと、きっと幸せになる」
ゆうすけ君は、青空園という施設へと入ることになった。
――そして数年後。
仕事で青空園を訪れたとき、背後から声が響いた。
「スグル先生!」
振り返ると、そこには成長したゆうすけ君の姿があった。
元気でいてくれて、ありがとう。
心の中で叫びながら、私は彼を強く抱きしめた。
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