【スグルのリアル体験66】 〜 俺が守る決意の運動会 〜 

1年前の運動会のことだ。

毎年、五月の終わりか六月のはじめに行われる運動会。

 

その年の運動会が終わり、ようやく片づけを終えた夕方のことだった。

 

校長先生が、俺のところに駆け込んできたのを今も鮮明に覚えている。

彼女は女性だが、まるで男前の武士のような気迫をまとっていた。

「スグル先生、来年は川中島(騎馬戦)をやります」

俺は耳を疑った。驚きで言葉を失った。

 

というのも、川中島(騎馬戦)は怪我が多発するため、多くの学校で中止されていたからだ。

 

俺の表情を見て、校長はすぐに言葉を重ねた。

「確かに怪我のリスクはあります。でも、このままでは子どもたちは弱々しいまま大人になり、社会に出たときに苦しむでしょう。

 

挑戦の場を奪ってはいけない。私たちが全力で備えれば怪我は防げます。

だからこそ、来年は実施したいのです。スグル先生、力を貸してもらえますか?」

その眼差しは真剣そのものだった。

俺の胸の奥が熱くなった。

「もちろんです。体を張って子どもたちを守ります」

それが俺の覚悟だった。

 

翌日から、準備が始まった。俺は放課後の運動場で、子どもたちの動きをじっと観察した。

倒れそうになったときの受け止め方を何度も試し、保護具を補強し、土の状態を整えた。

 

練習の合間にはフォーメーションの確認を繰り返した。

 

絶対に怪我はさせない。心の中で何度も誓った。

 

そして迎えた運動会当日。太鼓が鳴り響き、観客席からの歓声が波のように広がる。

俺は運動場の端、トラップの位置に立ち、全神経を研ぎ澄ませていた。

本部席に目をやると、校長先生と視線が合った。

 

彼女は小さく頷いた。まるでテレパシーのように「頼みましたよ」という声が聞こえた気がした。

俺は深呼吸をひとつして、両手を握りしめた。

いよいよ、決戦の時――騎馬戦が始まろうとしていた。

 

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